子どもを読書好きにする苦楽園読書くらぶ

「あと伸び」する子育て

「あと伸び」する子育て 

文字サイズ:

汐見 稔幸(東京大学大学院教授)

幼児らが活躍する二、三十年後には、さらに多くの日本人が外国で働き、多くの外国人が仕事などで日本に来る。

だから、日本人同士だけでなく、民族や文化が異なる外国人とも「人間は違いがあって当たり前」と感じ、違いを楽しめるような感覚を持った人間を育てることが必要だ。

米国で数学者として活躍している人たちにアンケートをしたところ、早期教育を受けた例はなく、大半が「楽しい子ども時代だった」と答えている。私の周りを見ても早期教育で効果があった例は見たことがない。

大人になるほどしっかりとするいわゆる「あと伸び」する子をどのように育てるのか。そのための子育てのポイントが五つある。

まずは生きるって面白いと思う感覚を持つ子を育てることだ。これが「あと伸び」の原動力になる。

二点目は「自尊感」を育てること。それには、したいことを子どもに選ばせる▽深く愛してもらっているという基本的信頼感を育てる▽幼児の好奇心とそれに基づく探索活動を十分させる―などが大切だ。

育児とは「頭心体」を育てることだが、うち心は体験が育てる。うれしい、助けてもらったという体験こそが心をはぐくむ。自然とふれあい、文化と技をいっぱい刻み込む感性豊かな心を持つ体に育てることを三点目に挙げたい。

四点目は「自主性」。自主性のある子は、赤ん坊時代からおおらかに活動している。親がちょっと後からついて行く、言い換えれば支援するという育て方がポイントだ。

五点目はIQよりEQ(情動〈こころ〉の知能指数)の高い子に育ててほしいということ。EQの高い人ほど社会で活躍している。EQは集団の中で遊ぶ▽対人感情を育てる場を踏む―などで育つ。

引きこもりなどが問題化する今こそ、子育てを考え直す時代だ。話し合える場をつくり、協力して子を育てよう。親も子と一緒に体を使って遊んでほしい。

(2005年12月16日、宍粟市一宮町の一宮保健福祉センターで開かれた子育て支援講演会で)― 神戸新聞2006年1月20日 トーク&とーく より

直前のページに戻る
気になった記事・エッセーにもどる

powered by HAIK 7.0.5
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. HAIK

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional